労働組合って何

 トップへ

労働組合って何 

労働組合って何?という問いかけが、最近多くなってきました。特に若い方に目立ちます。

このコーナーでは、働く個人をまもるため憲法や法律でしっかり規定された労働組合、その労働組合の本来の役割とは何か、日本にはどんな労働組合の団体があるのか?NECの労働組合は本来の役割を果たしているのだろうか?働く個人(労働者)が主人公の労働組合にするためにはどうすればいいのか。など考えていきたいと思います。このページをごらんになっているあなたもぞうぞご参加ください。

ここで”労働者”の定義ですが、雇用契約を結んで、雇われて働いている人はみんな労働者です。

以下、ちょっとむずかしいところもありますが、入試目前のつもりで一気に読みきりましょう。

最初の一歩

労働運動は、使用者側にたいして、労働者が自分たちの
利益を守るために行う運動です。
 労働者一人ひとりがバラバラでは、使用者側と対等の
関係で労働条件の交渉するのは、大変むずかしいことです。
 労働者の全体が持っている一番な力は、沢山の仲間が
いる(約5300万人)ことです。この有利な条件を生かして、
要求実現にむけて労働者が力を合わせることが、必要に
なっているのではないでしょうか。
 労働組合は、労働者の労働条件向上や、共通の要求実現
を目的に組織されました。労働者なら、その人の性別、
年令、学歴、思想、信条のいかんにかかわらず誰でも加入
できますが、使用者(資本家や当局)側に立つひとの加入は
認めていません。
 労働組合が自主的組織として運動をすすめるためには、
組織、運営、人事、財政など、すべての面にわたって、
使用者側の支配、介入を許さず、自主性を保つことが
必要条件になっています。

労働組合とは?

労働組合運動について

1.労働組合活動は、基本的人権として憲法で保障されています。
 [集会・結社・表現の自由、通信の秘密]
 第21条 集会・結社および言論、出版その他一切の
      表現の自由は、これを保障する。
 [勤労者の団結権]
 第28条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の
      団体行動する権利は、これを保障する。

2.労働組合法について
        (出所:ポケット労働法規集より抜粋)
  労働組合の活動は、労働組合法(1948.6.1制定)で
 定められており、20回弱の改正を経て、現在に至って
 います。

 第一章 総則

 (目的)
 第1条
  この法律は、労働者が使用者との交渉において
 対等の立場に立つことを促進することにより労働者の
 地位を向上させること、労働者がその労働条件について
 交渉するために自ら代表者を選出することその他の
 団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、
 団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との
 関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉を
 すること及びその手続きを助成することを目的とする。」
 として、制定されています。

 (労働組合)
 第2条
  この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となって
 自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を
 図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合
 団体をいう。但し、左の各号の一に該当するものは、
 この限りでない。
 一、役員、雇入解雇昇進又は異動に関して直接の権限を
  持つ監督的地位にある労働者、使用者の労働関係に
  ついての計画と方針とに関する機密の事項に接し、
  そのためにその職務上の義務と責任とが当該労働組合員
  の組合員としての誠意と責任とに直接抵触する監督的
  地位にある労働者とその他使用者の利益を代表する者
  の参加を許すもの。
 ニ、団体の運営のための経費の支出につき使用者の経理
  上の援助を受けるもの。但し、労働者が労働時間中に
  時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は
  交渉することを使用者が許すことを妨げるものでは
  なく、且つ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を
  防止し、若しくは救済するための支出に実際用いられる
  福利その他の基金に対する使用者の寄付及び最小限の
  広さの事務所の供与を除くものとする。
 三、共済事業その他福利事業のみを目的とするもの。
 四、主として政治運動又は社会運動を目的とするもの。

 (労働者)
 第3条
  この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、
 賃金、給与その他これに準ずる収入によって生活を者を
 いう。

労働組合のそもそもの役割とは

3.労働組合の役割
      (参考資料:シリーズ労働運動 6 )
 労働組合は、要求で団結して、その要求実現を追求
する大衆組織です。
 労働者の持つ社会的な「力」は「数」です。日本の
労働者数は1997年に5400万人を超え、労働組合に組織
された労働者数は1228万人(22.6%)になっています。
 しかし、その「力」は、労働者数や単純に組織労働者
の数の積上げに比例する事にはなりません。
 労働者の要求を実現のためには、労働組合に結集する
組合員の団結と、そのたたかうエネルギーが十分に発揮
されることが大切です。「たたかう「多数の力」」を引
き出すためには、「思想・信条の違いをこえて要求実現
のために自主的・恒常的に団結する組織として生まれた
という労働組合の原点にたちもどる」ことが基本になり
ます。
 そのために、「資本からの独立」、「政党からの独立」
「共通の要求での行動の統一」という労働組合運動の
三つの原則を堅持する事が大切になっています。
 @「資本からの独立」
   資本家(会社)の本質は、労働者に対する搾取に
  よって利潤をあげることにことにあります。
   したがって、資本の側がどんなに繕ったとしても、
  労働者と資本の利害関係は、基本的に相容れない
  関係にあります。だからこそ、「資本からの独立」
  は労働組合にとって、死活的に重要な内容となりま
  す。
   労働組合法は、第2条の一項で「・・・監督的地位に
  ある労働者とその他使用者の利益を代表する者の参加
  を許す」組織は、労働組合として認めていません。
 A「政党からの独立」
   労働組合は政党や政治結社と違って、思想・信条
  の違いを超えて要求で団結する大衆組織です。
   特定の政党の支持や排除を労働者に押し付けたり
  しては、労働組合の団結を維持する事はできません。
   団結のためには、「政党からの独立」と「思想・
  信条の自由と政党支持・政治活動の自由」の保障が
  大切になっています。
   しかし、このことは労働組合の政治的中立主義を
  意味してはおりません。労働者の切実な要求に背を
  むけたり、労働者に犠牲を推しつけたりする反動的
  な政党とたたかい、またこれに追従する政党を批判
  することまで否定していません。そして、政党とは
  「一致する要求や課題」に基づいて「協力・共同」
  していくとが、労働組合と政党の正しい関係です。
 B「共通の要求での行動の統一」
   労働組合は「要求実現のためにこそ生まれた]と
  いう原点に立てば、どんな傾向の労働組合であって
  も、要求実現の共同行動を否定することはできま
  せん。
   しかし、実際には、要求が一致しているのに所属
  組織が違うことを理由にして、セクト的に「統一
  行動」に背を向ける労働組合が多数存在しています。

 

日本にはどんな労働組合の団体があるの?

4.全労連と「連合」による労働組合運動の違い
         (参考文献:シリーズ労働運動 6)
  日本には、二つのナショナルセンター(労働組合の
 全国的な中央組織)があります。
  一つは、「全国労働組合総連合」(以下、全労連)で、
 もう一つは、「日本労働組合総連合会」(以下、「連合」)
 です。この二つのナショナルセンターは、いずれも1989年
 11月21日に結成されました。
  労働組合の歴史は、資本主義の誕生とともに職能別の
 労働者の利益を守る組織として生まれました。
  しかし、資本主義の発達にともない、資本家・経営者の
 結束が強化されました。
  労働組合運動も資本家の攻撃に対抗して、横断的な団結
 を地域的組織や全国的な産別組織、さらには産業の枠を超
 えた労働組合の地域的組織(ローカルセンター)や全国組織
 (ナショナルセンター)を結成して、統一要求や統一行動を
 組織して発展してきました。
  特に現在の日本のように、独占資本とこの利益代弁者で
 ある自民党政府の強大な権力と対抗し、労働者や働く人達の
 労働条件を向上し、国民的な課題を実現して行くために、
 ナショナルセンターの役割と責任が大きくなっていました。
  全労連は、多くのたたかう労働者の熱い期待に応えて、
 わが国の戦前や戦後の労働運動の積極的なたたかいの伝統を
 受け継ぎ、誕生しました。
  一方「連合」は、反共主義と労使協調、国際自由労連加盟
 など特定の路線支持を踏絵にした選別結集で、財界や政府
 から「歓迎」され、期待されて誕生しました。
  全労連と「連合」、二つのナショナルセンター誕生とその後
 の経過は、労働者や国民のなかにその生い立ちの違いをます
 ます鮮明に際立たせています。
  最近の大企業職場では、人減らしリストラが大手を振って
 まかり通っており、「M&A(企業の買収と合併)」での
 業績不振会社の売却や合併による人減らし、20〜30%も賃金
 ダウンする別会社化とそこへの転籍の強要など、労働者への
 過酷な攻撃に対しても、「連合」幹部は「企業生き残りの
 ため」、「企業の再生のため」と称して、会社のリストラ策
 を”丸呑み”する事態が進行しています。
  全労連は、こうした大企業の横暴な攻撃に対抗して、
 「連合」職場の階級的潮流との共同行動や、「連合」傘下の
 労働組合との共同を視野に入れた広範な労働者を結集する取り
 組みを進めています。

労働者の生活、労働環境を良くするための課題はいっぱい!

5.労働組合運動の課題

  全労連は、行動綱領で「大幅賃上げ、全国一律最低
 賃金性の確立、労働時間短縮、「合理化」反対、雇用
 保証、働く婦人の地位向上、ILO条約など国際労働
 基準への到達をはじめとする労働者の切実な要求の 
 実現」のほか、「国民的諸要求に実現」「労働基本権
 の完全確保」「すべての人々の基本的人権の保障」
 「結社、言論の自由と民主教育の確立、豊かな文化・
 スポーツの創造」「独占企業にたいする民主的規制」
 「未組織労働者の組織化と労働戦線の統一」「憲法
 改悪反対、民主的な選挙制度の確立」「日米安保条約
 廃棄、米軍基地の撤去」「国民本位の政治・経済と、
 非核・非同盟・中立・民主の日本を実現する統一戦線
 の樹立」[核兵器の廃絶、世界の恒久平和の実現と
 「新国際経済秩序」の確立」など、広範な労働者、
 国民諸階層に共通する「11項目」の「基本的な目標」
 を掲げています