A NECでは、昨年4月からフレックスタイム制度を休止しましたけれど、それにあわせて
Vワーク適用者も定時間の勤務が実質義務付けられていますね。裁量労働制と矛盾
するのではないかと言う声も、よく耳にします。
はじめにフレックスタイム制とVワークの違いを押さえておきましょう。フレックスタイム
制度もVワーク制度も、どちらも労働基準法でいう変形労働時間制の一種です。
フレックスタイム制度(労働基準法第32条の3)は、1箇月以内の一定期間を平均
し、1週間の労働時間が40時間を超えない範囲内において、始業及び終業の時刻を
その労働者の決定に委ねるという制度で、1ヶ月単位で清算し、週平均40時間(所定
労働時間)を超えていれば割り増し賃金を支払う制度です。NECの場合は、4時間の
コアタイムを設けて、この時間は必ず出社していなければならないとしています。
一方、Vワークは裁量労働制((労働基準法第38条の3)(労働基準法第38条の4))
であり、労使間で定めた時間を労働したとみなす制度です。制度適用の対象者となる
のは、使用者が業務遂行手段や時間配分について具体的指示をしない労働者として
います。したがってフレックスタイム制度と違いコアタイムもありませんし、厳密な時間
管理による清算も基本的にはありません。しかし、労使で決めた「みなし労働時間」が、
実態に合わない場合には、みなおす必要があります。よってみなし労働時間を越えた
場合、自己申告で超過申請をおこなうことができるようになっています。
詳細は、例えば以下のHPをごらんください。
大阪労働局 : https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/
基本的には、フレックスとVワークは別々の制度で、運用目的も異なるということです。
裁量労働制は、労働時間の配分を自己管理することが主旨です。NECのフレックス
で定めたコアタイム(10時から15時)も、本来Vワークでは必ずしも勤務を要請してい
ません。したがって、毎日定時出社を固定的なものとするのなら、裁量労働制と矛盾
すると考えられます。みんな定時で来るのだからVワーク適用者も定時で来たほうが
効率が上がるはずだという意見もあるようですが、どういう時間配分をすればもっとも
適当かを個人の判断に任されているのが裁量労働です。ですから、定時出社の強制
はもちろん、早く帰るからけしからんということも、上司は言えないことになっています。
上司が苦言を言うこと自体、会社が正式採用している裁量労働制を否定していること
になります。きっと上司の気持ちの中には、フレックス休止で担当の人が残業できない
中、Vワーク対象者にいっぱい働かせたいというのがあるのではないでしょうか。
(会社がフレックスを休止している理由のひとつかも知れませんね。) |