NECフィールディングの雇用延長を考える |
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選択時期、日立・富士通同様59歳が当然! |
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2006年1月 NEC労働者懇談会 |
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はじめに 2006年がスタートしました。この春は、フィールディングで働く者にとって3つの課題にど う向き合うのか、一人ひとり問われることになります。その結果如何で、将来の生活を左右するこ とになります。その一つは会社提案の「雇用延長」問題、二つは「扶養手当廃止」問題、三つは5 年ぶりに賃上げを掲げて06春闘を闘うことができるかです。 今回は、「雇用延長」について考えます。メール等にてご意見をお寄せください。
賃金20%カット(56〜59歳)と転籍を条件!
一昨年6月、改正「高年齢者雇用安定法」が成立したことにより、この4月から60歳以降の雇 用延長が義務化されることになりました。これは、年金法の改正で支払い開始年齢が段階的に引き 上げられたことで生じる収入の「空白期間」を埋める義務を企業に課すと共に、少子化による将来 の労働者不足に対応するものです(厚生年金の「定額部分」は2013年4月に最終の65歳へ引 き上げられ、その後「報酬比例部分」は2025年4月に65歳へ引き上げられて完了となる。女 性は5年遅れ。その結果、1961年4月以降に生まれた男性は65歳になるまで厚生年金の支払 いは一切ない。定年など、まだまだ先と考えている人とてノンビリと構えてはいられない)。 これに伴い、各企業において雇用延長制度の構築もしくは見直しが進められてきましたが、昨年 11月14日になって会社は、組合に新たな雇用延長制度を提案してきました。そして1月16日、 最終案なるものが発表されました。
■ フィールディングサポートクルーへの転籍を前提(55歳で選択) ■ 対象者基準:@直近過去2年間の人事考課がいずれも標準を下回らない A勤務に支障がない健康状態にある B能力開発休暇を取得していない ■ 雇用期限:原則として法定上限年齢まで毎年更新を行う ■ 56〜59歳の労働条件:選択時月収×80% +(一時金3ヶ月±α) ■ 60歳以降の労働条件 :18万A職・17万B職・15万C職で固定 +(一時金3ヶ月±α)
欠陥だらけ。60歳後の実質月収9万5千円なり!
会社案の雇用延長は、電機業界でも最低・最悪で多くの問題を抱えています。55歳といえば、 家のローンや子供の教育費などで生計費がかさむ年代です。これでは誰とて選択の余地は、ほと んどないといっても過言ではありません。以下、その問題点を指摘します。
@ 雇用延長と定年までの賃金引き下げとは性格を異にする問題であり、制度の趣旨を誤魔 化している。月収36万円C職のケースでは56歳から28万8千円に減額され、扶養手 当の配偶者分2万円もなくなる。60歳になると更に減額されて半分近い15万円となり、 これでは到底、現状での生活を維持することは難しい。 唯一、この制度で得するのは、超低賃金でフルタイムの労働が可能となる会社側である。 内工化による外注との置き換えで外注費の削減が進み、「損せず得する」ことになる。 A 55歳時点で10年後まで見定めた選択など容易なことではない。選択後に労働の継続 が困難になった場合、減額分の中のわずかな額しか返還されずリスクが大きい。 B 対象者基準の「過去2年間の人事考課がいずれも標準を下回らない」というかなり厳し い条件を課している。これでは対象外とされる人が相当数出てくる可能性がある。その人 たちの生活が保障されなくてよい道理はなく「希望者全員を対象にする」原則に反する。 C 通常、子会社への転籍及び賃金切り下げは、本人の同意なしにはできない労働契約の重 大な変更である。定年後の生活不安を利用し、それを雇用延長の条件にしてくるやり口は 姑息というほかはない。 現在、行っているフィールディングサポートクルーへの人材募集では、転籍後の賃金が 下回る場合「減額分の60%相当」の支払いがある。それを利用し、選択年齢の対象者に 揺さぶりをかけて転籍させようとするやり口は姑息というほかはない。
60〜64歳までの収入:1125万円 56〜59歳までの減収: 555万円 差額:570万円(年収114万円) (月収9万5千円)
急いで得なし。猶予期間3年をかけ、真の雇用延長を!
経営側は、「高年齢者雇用安定法」改正による雇用延長の義務化について、@希望者全員が企業 が求めるスキルを備えているわけではない。A雇用継続によって人件費の負担を増加させ、企業の 競争力を阻害するなどを掲げて反対しました。結局、改正案は施行時期を2006年度に先延ばし にした上、大企業では3年間の猶予期間が認められて期間中は企業側が一方的に定めた制度であっ てもよいことになりました。 3年後においては、同法第9条2項「事業主は労働者の過半数で組織する労働組合との書面によ る協定により、継続雇用制度の対象となる基準を定め、当該基準に基づく制度を導入したときは、 前項第2号(継続雇用制度をいう)に掲げる措置を講じたものとみなす」(抜粋)の規定により、 働く側が一方的に不利で実効性のない今回のような制度の継続は、組合の同意なしにはできなくな ります。少なくとも紹介した電機他社並みの基準は当たり前で、その実現も難しくはありません。
会社の雇用延長制度で労基署管轄の労働局が見解 ■56才になった時点での選択について、「改正高年齢者雇用安定法による高年齢者雇用確保措 置の導入に当たっては、継続雇用の対象となる労働者の基準を定めることを可能としていますが、 その場合にあっても、労使が良く話し合って協定していただくことが大前提となっています。 労使による真摯な話合いによる合意がなされた結果であれば法違反とはいえないと思われます」。 ■対象者基準として@直近過去2年間の人事考課がいずれも標準を下回らないとすることで雇 用延長されない人が相当数出る場合について、「法の趣旨にかんがみ適当ではないと思われます」。 (註、日本電気の場合は「過去2回の人事考課が連続して最低評価でないこと」となっている)
今こそ、多くの声を組合に集中しょう!
改正「高年齢者雇用安定法」上、労働組合の判断には極めて大きなものがあり、それだけに責任 も重大です。導入にあたっては、将来にわたって問題を残すことのないよう急ぐことなく時間をか け、誰もが納得できる真の雇用延長制度にしていくことが肝心です。 一度、制度を導入してしまうと後になって内容を変えようとしても、容易なことではありません。 以前の何倍もの力と時間が必要となります。ここは、ことわざにあるように「急がば回れ」です。 今こそ、多くの声を組合に集中しましょう。一人ひとりの将来のために!!
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